『ラッシュ/プライドと友情』
『ザ・クラウン』を生み出したマーク・ゲイティスが、爆発シーンのあるレースドラマを制作するために、伝説的な映画製作者であるロン・ハワード監督およびマーベル映画の2人の役者とタッグを組んだ作品として当初注目されましたが、それが実現するには至らず。
2013年公開の映画『ラッシュ/プライドと友情』は、命を懸けたフォーミュラ1のレーサーのジェームス・ハント役を演じたクリス・ヘムズワースが、素晴らしい演技力を発揮している作品ですが、残念ながらこの作品はよく見落とされがちです。
この映画は、主人公ジェームス・ハントと、(ダニエル・ブリュール演じる)オーストリア人ドライバーであるニキ・ラウダとの間で繰り広げられる争いを描いており、ハワード監督は1番になりたいと駆り立てられた全く異なる2人の人物について取り上げました。
特に、レース場面は観ていて爽快なもので、アンソニー・ドッド・マントル監督の撮影技術は1970年代の雰囲気をよく捉えています。
『レインマン』
映画『レインマン』は、トム・クルーズがついにアカデミー賞を受賞できるだろうと非常に期待された作品でしたが、結果的に彼はノミネートさえもならず。
それはさておき、映画自体は大ヒットとなり、アカデミー作品賞および監督賞を受賞し、そしてダスティン・ホフマンが主演男優賞にも輝きました。
しかしながら、ダスティン・ホフマンの役どころが華やかだった一方で、トム・クルーズの役は全く油断のならない役でした。
トム・クルーズの役柄は、疎遠の父が死去した際に、精神疾患のある(ホフマン演じる)兄レイモンドに、全財産を遺したということを知った傲慢で貪欲な弟を演じます。
『イカとクジラ』
ノア・バームバック監督は、2005年公開の自身の両親を描いた映画『イカとクジラ』によって、映画製作者としての評判を固めました。
設定は1986年。2人の少年が両親の離婚を経験する様子を追っており、バームバック監督自身の役はジェシー・アイゼンバーグが演じました。
この作品では、映画製作者の憂鬱への強い嗜好だけでなく、鋭いユーモアも存分に描かれています。これは複雑なストーリーでありながらも、人の感情に正直な映画なので、「独立制作ドラマ」を探している方にはぴったりの作品です。
『ディパーテッド』
マーティン・スコセッシ監督は2006年の犯罪映画『ディパーテッド』でアカデミー賞監督賞を受賞しましたが、彼は当時その作品をただ楽しみたかっただけだったとか。
スコセッシ監督は『アビエイター』や『ギャング・オブ・ニューヨーク』のようなまじめな叙事的長編作品の後に、営利本位の映画を製作しようと考え、香港のスリラー映画『インファナル・アフェア』をスター総出演編成でリメイクしたのでした。
結果として、傑出した演出で、非常におもしろい犯罪作品が出来上がり、名優レオナルド・ディカプリオの役は、間違いなく今までで最も良い役のひとつでした。
この作品は、アカデミー賞監督賞に輝いただけではなく、作品賞、脚色賞、そして編集賞も受賞しました。
『マンク』
デヴィッド・フィンチャー監督のNetflixデビュー作品である『ムンク』は、“史上最高の映画”と呼ばれる傑作映画『市民ケーン』(1941年)の誕生秘話にスポットを当てた人間ドラマをテーマにしています。
『マンク』は、(ゲイリー・オールドマン演じる)ハリウッドの脚本家ハーマン・J・ マンキーウィッツの魅力的で売れっ子のスクリプトドクターとしての奮闘を追っており、さらに数年後に彼が『市民ケーン』の初稿を作成し、書き上げる様子を取り上げます。
俳優ゲイリー・オールドマンは、問題を抱えた男が壮大な機会を見つけ、それを掴む様子を見事に演じきっています。
作中では、ハーマン自身や彼のリアルな人生を掘り下げ、ノイローゼ気味の男が栄光の好機を見つけ、それを掴む様子を力強く描写しています。